金曜日TBSドラマ「Nのために」は、12月19日でいよいよ最終話を迎えます。
湊かなえさんが原作というのと、将棋がちょくちょく出てくるので、毎週チェックしております。
さて12月12日放送のラス前で、ある将棋の局面が話の流れでとても重要になってきました。この局面がどういう局面だったのかを盤面を調べてみたので、折角なので記事にしてみました。将棋をあまり詳しくない人(全く知らない人は無理ですが)にもわかるように書いてるつもりです。
問題の局面を迎えるにあたってのあらすじ
ざっくり書くとこんなあらすじになる。
ちまみにドラマ上での将棋の棋力は「成瀬(窪田正孝)>>杉下(榮倉奈々)>安藤(賀来賢人)=野口(徳井義実)」といった感じだろうかか。どんな詰将棋も解いてしまう成瀬くんが、数段上のよう。
問題の局面を解説してみる
さて問題の局面がこちら。ドラマでは、先手に勝ちがなく、必敗のような演出をしていたが、果たしてどうなのかを検証してみる。
(1)先手は持ち駒がなく、いかにも詰まされそうな状況。だが、後手からは即詰みはなく、後手の玉の守りは銀だけで、この局面は先手が圧倒的に優勢。成瀬が示した▲5六龍以外にも、▲3一馬でも良さそう。
(2)成瀬が教えてくれた▲5六龍。ここで後手は△5六馬と取るようにいったが、これが悪手。龍取りを放置して、△3三馬などの方が粘りが効いた。(しかしそれでも先手優勢)
(3)△5六同馬と龍を取ってくれたことで、詰みのパターンに入る。ここは▲2三桂不成。桂馬を成らずに王手をするところが鍵。後手は△2三同銀と取るしかない。
(4)先ほど取った銀を▲2二銀と捨てるのもまた妙手。これは△1二同玉と取るしかない。
(5)玉を引き出してから、馬の効きをいかして▲3一飛成。逃げ場は1か所で△1一玉。
(6)最後のトドメは▲4四馬。△3三歩などの合駒が効きそうだけど、これも同馬と取れる。龍が効いているので、桂馬で馬を取ることができない。ここで後手玉は詰み。
結論からすれば、別に「起死回生の一手」ではないということにはなる。
しかし、一発逆転の局面などプロの棋戦でも出てくるが、難解な局面が多く、素人には理解しがたい。こういうわかりやすい詰み手順の方がドラマなどには向いているんだろうとは思う。
最近、将棋を指すシーンが色々なドラマで出てくる。これをきっかけに、少しでも将棋に持ってくれる人が増えるといいですな。