将棋プロ棋士とコンピュータの五番勝負「第3回電王戦」が3月15日に開幕し、大変に盛り上がっております。これまでは既存の新聞社が中心に将棋の記事を書いていたけれど、この電王戦に関してはIT関連のサイトも取り上げているほど、注目されてます。
第1局、第2局とコンピュータが連勝し、第3局でプロ棋士が負ければ負け越しが決定してしまう重要な一戦。豊島将之七段がYSSを圧勝して、プロ棋士がようやく一番返してくれました。
これまで連敗でなかなか記事にする気が起きなかったのですが、関西の次期エースは勝ってくれたことで、ヘボ将棋しか指せない私ですが感想記的に書いてみます。
コンピュータの疑問手に踏み込んだ強気な指し手
後手YSSの22手目、△6二玉が問題の1手。プロの間でもこの手はほとんど指されないし、この後の▲2一角の展開はアマチュアでもすぐに想像できちゃう。感想戦で話されていたけれど、この展開は数局出てきたらしいが、本局の途中からの流れは未知の世界だったと。
この△6二玉を誘導したようにもみえるし、YSSの弱点をついた作戦だったかもしれない。だけどその後の未知数な展開を考えたら、その強手に踏み込む勇気は相当なもんだと思う。序盤のことはさておき、それ以降全く相手を寄せ付けない完璧な指し手が続いていたと評判だった。豊島七段は「序盤・中盤・終盤の隙がない」で有名だけど、弱点をついたことよりもその強さが際立った対局だったように思う。
本気で対策を立てないと勝てない?
今回の第3回電王戦から、対戦相手のコンピュータソフトを貸し出してプロ棋士が練習と対策を立てることができるルールになった。第1局の菅井五段が約200局、第2局の佐藤紳哉六段が40局練習をしたと言っていた。今回の第3局・豊島七段は驚きの1000局近く練習したらしい。しかも持ち時間5時間の将棋も3局指したと。
菅井五段も佐藤六段も、練習局数が少ないとも思えない。だけど、その二人よりも実力が上だと思われる豊島七段は、その何倍も練習で指してる。こういってはなんだが、勝負にかける意気込みが違いすぎる。羽生・森内・渡辺の三強の次を担う「将棋界のエース」と言われるはずだ。
羽生三冠が以前「コンピュータと対戦するなら、公式戦を欠場しないといけない」と発言したらしいが、豊島七段クラスでも本気で取り組まないとコンピュータに勝てないということが証明されたってことですな。
この1勝でプロの勝ち越しを期待
第1局の菅井五段も、第2局の佐藤六段もよくがんばったし、悪手らしい手は指してない。だけど負けた。それだけコンピュータの力があるってこと。
今回の豊島七段でもし負けたら、プロの5戦全敗だったと思っていた。だけど1つ返してくれた。
次の森下卓九段、下馬評ではツツカナが勝つと予想されてるみたいけど、意地をみせてくれそうな気がする。第2回の塚田九段もそうだが、ベテラン棋士の方が対コンピュータに向いてるという声もあった。そして最終局は、屋敷伸之九段がB級降級のうっぷんを晴らしてくれるはず。プロ棋士の3勝2敗で勝ち越しと予想する。
そして森内・羽生・渡辺の三強が登場するのは数年後に伸びるという、勝手な予想でした。
参考記事
→ [ロックショウギ] 第3回電王戦 第3局 ▲豊島将之七段 – △YSS