衆院選ニコ生選挙番組からみる、選挙とライブメディアのこれから

20141215_1
第47回衆議院選挙が12月14日投開票が行われ、自公が2/3の絶対安定多数の議席を獲得し、与党の圧勝という結果に終わった。また戦後最低の投票率約53%で、関心が薄かった選挙戦だったともいえる。

毎回選挙のときは、テレビの開票番組をローラーしまくって、大物議員の当確を見守るのが、何よりの楽しみにしております(笑)今回もニコ生の選挙特番と、テレビの各局をチェック。ネットではテレ東と日テレの「当確テロップ」が話題になってました。

→ 選挙特番で表示された議員のプロフィール傑作選 – Togetterまとめ

さて今回、ニコ生の選挙特番の視聴者数が特に気になりました。ニコ生のメインコンテンツである「政治」の未来と、選挙とライブメディアの関係性について、殴り書きしてみます。

ビートたけしが登場したニコ生選挙特番

20141215_7
ニコニコ生放送の開票特番は、MCの角谷浩一さんや松嶋初音さんや様々なゲストが出られるのが通常。そして今年はなんと、ビートたけしに元フジアナ・八木亜希子さんが出演されていました。

ビートたけしからどんな毒舌が飛び出すのだろうか注目してたが、超ぶっとんだアイデアなどとにかく面白かった。コメントも相当走ってて、ユーザーからの評判は良かったように感じる。

しかしどうも気になったのが、視聴者数が少ないこと。約五時間の番組のエンディングはこちら。

20141215_2
総視聴者数は34.7万、総コメント数は64.1万だった。ただコメント数が視聴者数に比べてかなり多いのは、たけし効果があった可能性は高い。

2年前の衆院選と数字を比較

20141215_3
上記は2年前の開票特番。総視聴者数が51万、総コメント数が77.3万。タイムシフト視聴による数もカウントされるので、正確な数の比較はできないが、2年前よりも数字が落ちているのは明確。

さらに告示前に行われる党首討論ネット配信はもっと顕著で、2年前の「ネット党首討論会」はこちら。

→ 10政党が参加したニコ生の「ネット党首討論会」、総視聴者数は140万3551人 -INTERNET Watch

総視聴者数が100万人を超えて大きな話題になった。そして今回の「ネット党首討論会」はこちら。

20141215_4
総視聴者数は前回の約1/10の15.7万。確かに今回の方が盛り上がってないにしても、この数字の落ちぶりは尋常じゃない。

これまでライブメディアを活用した選挙戦

360e901f
ライブメディアを活用した選挙で思い出されるのが、2013年3月の参議院選挙。

東京選挙区から出馬した山本太郎氏が、約66万票を集めて第4位で当選。また「緑の党」から比例代表で出馬した三宅洋平氏も、落選した候補者の中でトップの17万票を集めたことが話題になった。

この二人共、本人たちがツイキャスやニコ生で配信もしていたが、それを応援していた人たちが自発的に配信していたのも大きい。もちろんTwitterなどのSNSもうまく活用してはいたが、ライブメディアも大きく影響していたとは考えられる。

しかし今回の衆議院選挙。ライブメディアを使っている候補者はいたようだが、この二人のように話題になった人はいない。

東京12区・田母神候補の得票数

そしてどうしても書きたかったのがこれ。(今回の記事のテーマからは離れるかもしれないが)

ニコ生でユーザーに特に人気なのが、今回東京12区から出馬した元航空幕僚長の田母神俊雄氏。2014年2月9日投開票の東京都知事選に出馬し、その時の結果はこちら。

20141215_5
第4位に終わったが、61万の票数はよく取ったといえる数字。そして今回の衆議院選挙の東京12区の結果がこちら。

20141215_6
相手が公明党の現大臣に、共産若手のエースと小沢チルドレンの筆頭。相手が悪いとはいえ、東京全体から60万も取った人とは思えない。もちろん、選挙区の構図の要素が大きく影響するので、単純には比較はできないのだが。

ここで言いたいのは、「小選挙区ではライブメディアの効果が落ちる。」ということ。いくら多くの視聴者数が集まったとしても、その選挙区の人が観ていないと直接的には意味がない。全県に関わる県知事選などには有効かもしれないが、市町村単位の県議選では効果がないという仮説が立てられる。

選挙に勝つために、ライブメディアは有効か?

まずニコ生が「政治」に力を入れて、メインコンテンツにしていることについて考えてみる。

今回の選挙では、約150もの番組が配信され、全部の視聴者数は200万人が超えたと言われていた。テレビとは違う内容で配信できるし、各政党や候補者で独自の番組を持つこともできる。若者の選挙参画を促す効果も当然ある。

ただし、2年前に比べて視聴者が減ってきているのは明らか。「インターネットでこんなことが出来るのか!?」という目新しさがなくなってきたのが一番大きな要素だろうが、2年前の数字が天井だったように思う。これから先、盛り上がる選挙戦が実施されたとしても、この数字を上回ることはないと予測する。

そして、候補者側がライブメディアを活用することについて。

先述の山本太郎氏や三宅洋平氏のような例は、ツイキャスがちょうどブレイクする時期だったし、あの時だから成立していたと感じる。また先程の田母神氏のことでも書いたように、小選挙区では効果がかなり薄い。小選挙区で効果が薄いとなれば、選挙に勝つためのライブメディア活用は有効ではないともいえる。

YouTubeなどのアーカイブ動画メディアも、今回大して話題になった話は聞いてない。そりゃ街頭演説の動画ばっかり投稿されても、誰も興味ないっちゅー話ですがね。

ライブメディア黎明期から、どう進化していき、どう活用されるのか注目をしていたが、今回の件はライブメディアの今後を大きく左右しそうだ。